八幡浜市合併10周年特別企画:市長対談 大城一郎(八幡浜市長)×三瀬康弘(八幡浜青年会議所第64代理事長)

市長対談 大城一郎(八幡浜市長)×三瀬康弘(八幡浜青年会議所第64代理事長)

八幡浜市制施行10周年記念提案事業 八幡浜の魅力発掘・発信事業「愛顔」~いつまでも愛顔溢れるまちに~の特別企画として八幡浜市長 大城一郎様と(一社)八幡浜青年会議所 理事長 三瀬康弘君の対談をさせて頂きました。 私たちは本年度「永続と貢献」をスローガンに掲げ、「明るい豊かなまちづくり」の実現に向けて運動を展開しています。青年会議所OBでもある大城市長に合併10周年を迎え、これからのまちづくりや、青年会議所活動への要望についてお話を頂きました。

合併10年を振り返って

本日はよろしくお願いします。まず、今年は、八幡浜市と保内町が合併して10年目ですが、この10年を振り返って、どのような効果があったと思いますか?

平成の合併というのは、国が行財政の負担をどれだけ少なくするかということがメインであり、愛媛でも70市町村あったのが20市町になり、新しい八幡浜市でも旧八幡浜市と旧保内町が合併して、首長も副市長も一人になり、市の職員(病院含む)も合併当初746人だったのが今年には577人と、職員が減っているわけだから、国が狙った行政のスリム化という合併の効果はでていると思います。八幡浜市にとってのメリットというのは、これまで家を建てる土地がなく、特に若い人が市外に出て行くというようなことがあった中で、八幡浜と保内が一緒になり、若い人が土地のある保内に家を建て、結婚して子育てができる、市内に留まってくれるということは、合併してのメリットだと感じています。また、新しい名坂道路ができたことにより、八幡浜と保内の行き来もしやすくなり、より合併の効果がでてきていると思います。これからは、八幡浜道路を夜昼道路、大洲西道路と伸ばしていって、少子化や人口減少の対策として交流人口を増やしていかなければいけないと思います。

大きく目に見えるところでは、新たに「八幡浜みなっと」ができましたが、「八幡浜みなっと」について振り返ってみていかがですか?

道の駅・みなとオアシス「八幡浜みなっと」は、オープンして二年が経ちましたが、訪れていただいた方が一年目は128万人、二年目は102万人と、わずか二年間で200万人の方に訪れていただいたということは、これはよい施設になったのかなと思います。行政主導ではなく、民間主導で「八幡浜みなっと」を盛り上げていく、民設民営という部分も含めて、市民の方が「八幡浜みなっと」でイベントをしたり、モノを売ったりと、色々なことに活用していただいているからこそ成長しているのではないかなと思います。これからも市民の皆さんに利用していただき、皆さんの手で、よりよい施設にしていただければと思いますし、それに対して、市も後押しをしていきたいと思います。

私も、コミュニティの場がすごく増えたなと感じていまして、「八幡浜みなっと」は、市内の方だけではなく、市外の方も利用していたり、高校生がグルメ甲子園イベントをしたりとか、地域のイベントに活用をされているところが、非常に効果があったのではないかと思います。

今は、まちづくり再編の過渡期

今後のまちづくりのビジョンについて、市長はどのように考えているのでしょうか?

まず、市内のほぼ全ての公共施設が更新の時期にきているという現実があります。
今は、このことについて全体を見通した上で、どのように更新していくべきかという計画をつくっているところです。この計画をつくるためには、子どもが減っているわけだから、小・中学校の児童や生徒がどのような環境で勉強・運動をするのが一番よい環境なのかを考えながら、学校の再編も積極的に進める必要があります。これは保育所も同様です。小・中学校は耐震化を進めていますが、保育所は、今、手つかずの状況ですから、小さい子どもたちがいる保育所が今のままでよいのかというと、当然よくありません。保育所の場合は、親御さんが送り迎えをする環境もあるので、交通の便のよさについても考慮する必要がありますし、民営化についても考えていますが、よりよいサービスを提供していきたいと考えています。
というのも、今は、両親の共働きや、仕事にも様々な勤務体系があるので、土・日・祝日にも対応できる保育所があってもよいし、子どもが発熱したときに、病児保育ができるところ、病後児保育ができるところ、そういった環境も整えていく必要があると思っており、教育施設、社会福祉施設もそういう考えをもって再編を検討していきたいと思います。
あと、社会福祉施設でいうと介護や高齢者関係の施設も更新しないといけないところがありますし、文化施設にしてもそうです。
例えば、ゆめみかんと市民会館といった同じような施設が二つあって、ゆめみかんをメインの会場にするということになれば、今度は800人がスムーズに利用できる駐車場を検討する必要があります。
再編をするためには、まちをどのようにつくっていくのかというビジョンが重要で、色々な用途にあわせて、その機能を十分に生かしながら集約していく必要があります。学校施設、社会福祉施設、文化施設、その中でも少ない土地・狭い土地でやらないといけませんから、空いた土地を有効活用する必要があります。例えば、学校や保育所の統廃合であったりしますが、文化施設など全部を含めて「どこ」に「どのような」施設があったらよいのか、今後は、まちなかの環境のよいところの統廃合をしてでも、土地を空けて他の施設をもってくるとか、再編を進めないといけないと考えています。
今は、子どもからお年寄りまで住みやすい、若い人も仕事がしやすい、そういうまちをつくっていく過渡期にあると思います。

第一次産業にはこだわりたい

基幹産業でもある第一次産業の今後のビジョンはいかかでしょうか?

農業・漁業といった第一次産業にはこだわっていかないといけないと思います。
みかんのアルバイター事業にしても、住み込みのアルバイターで1年を通してアルバイトをしている人もいれば、収穫期の10月から1月までの季節労働者もいるわけですが、今後は、アルバイターが入ってきやすいようにするために、市で旧舌田小学校を合宿・宿泊施設にして、より働きやすい環境を整えていく予定です。
アルバイターに対しては、今は、農家が食事・居住も提供して、収穫を手伝ってもらっていますが、今後は、市がそういう場所をかまえて、JAに経営していただくことで、農家の負担を減らして、アルバイトの人がより入ってきやすい形をつくっていきたいと思います。
最初は、交流人口のみの増加であっても、ゆくゆくは、今のみかんづくりをもっとしたいというふうになれば、耕作放棄地の問題が改善されて、さらに定住してもらう為には、空き家がいっぱいあるわけだから、働く場所と居住を提供できるようにしていけば、人口も増える。
やはり、第一次産業、みかんと魚、これにはこだわっていかないといけないと思っており、そのためには定住人口の増加につながる対策もしていかないといけないと思っています。

青年会議所にはまちづくりに対する提案を期待!

あとは、結婚してもらう人を増やさないといけないなと思います。昔は、市が、結婚している人には三人目に10万円、四人目以降は30万円と祝い金を出していました。でも私が市議会議員のときに、この制度を止めるとなって、なんで止めるのだと反対討論をしたのだけど、廃止になったということがありました。そのときに、三人目、四人目の子どもが一年間で何人生まれていたかというと、39人とか45人とかだったのですが、去年、何人生まれたか調べてみたら、42人いました。ということは、結婚した人は三人目、四人目の子どもを祝い金がなくても産もうという人がいるということです。当時は250人から300人が一年間で生まれていたのに、今は180人ぐらいに減っているということは、やっぱり結婚しない人が増えてきたのかなと思います。高齢化・晩婚化で子どもを産みたくても産めない人がいるのだったら、もっと早く結婚してもらうことを考えていけないのかなと思います。

青年会議所でも話題にしますが、一時金とか補助金でいただいたお金は、なかなか購買力につながらないと感じます。住宅などの金利を三人目とか四人目のお子さんがいる家庭は緩和しますよとか、そういう金融商品があると面白いなと感じます。

いいですね。

そうすると、三人目が生まれたら家を建てようかというような、次につながるとよいのではないでしょうか。メンバーの奥さんに児童手当の使い道を聞くと、「貯金します」と答えるのですけど、それでは経済がよくならないと感じます。

一時金と言っても、伊方町など100万円を支給するところもあります。もちろん、1度に100万円を支給するのではなく、住んでもらわないと困るので、生まれてから成人するまでに分けて総額100万円になるという政策をしています。
でも、今言われたように、大家族とか三世代が家を購入する際に補助をすることを東温市などでは実施しています。そういう多子家族を対象に制度を制定するとか、こういう提案がありますよと進言してもらえれば、市役所内で考えて政策として打ち出していくようになります。
そこで、アイデアを出すのが青年会議所の魅力の一つになってくるのだと思います。

忠八翁生誕150周年

今後、八幡浜の魅力や地域のたからをどのようにPRをしていきますか?

まだまだPR不足だと感じています。よそからは、「八幡浜には地域の魅力や宝が幅広い」と言われますから、これらをどうPRしていくか。特に今はフェイスブックなどのSNSの情報発信ツールもありますが、市だけで情報発信をしていくとなると色々な制約もあるので、このあたりもどうするかが課題です。

来年は忠八翁の生誕150周年です。例えば滋賀県の鳥人間コンテストのような、日本飛行機の父の生誕地ということで何かイベントなどの考えはないですか?

夢物語かもしれませんが、忠八の玉虫型飛行機をANAの飛行機の尾翼にシールのように張ってもらいたいなと考えています。ダ・ビンチヘリという、レオナルド・ダ・ビンチの考えたヘリコプターを張ったシールがあるのですが、同じようにこれを実現化できないかと、関係者に相談したのですが、「ハードルが高いよ」と言われました。二宮忠八翁は、日本の飛行機の父なので、実現できたら素敵だと思うのですが。

そうですね。二宮忠八翁は地域のたからですね。昨日、宮中の料理人になった方のドラマがありましたが、二宮忠八翁のドラマ化も面白いのではないでしょうか。忠八翁の舞台を坊ちゃん劇場でするとか聞きましたが。

忠八翁の舞台は、今、各学校を回っています。三人で40役位、入れ替わり立ち代り演じてすごいなと思いました。また、八幡浜の市民劇団で忠八のミュージカルをするように計画をしています。できれば八幡浜応援隊の大沢健さんや井上昌己さんに出てもらえればよいなと考えています。

それは楽しそうですね。

練習時間の確保などの問題があるので、大沢健さんや井上昌己さんとの共演は難しいかもしれませんが、お願いはしてみたいと思っています。あと、映画では、手塚治虫さんの虫プロダクションが二宮忠八翁を題材としたアニメができるというような話もあります。

故郷で暮らすという一つの選択肢

少し話しは変わりますが、職育について、今年取り組んでいこうと考えておりまして、高校生をターゲットに我々大人とのコミュニケーションを図りながら、今後、またこのまちに帰って働こうよというような気づきを与える事業を夏に企画しています。

具体的にはどんなことをするのですか?

我々の仕事内容を紹介し、自分達の未来予想図みたいなものを最終的には記入していただくような形を検討中です。市内の高校1年生に集まっていただいて現場の私達とコミュニケーションをさせていただき、どういう仕事でどういうふうな働きをしているか、こうやって地元に帰ってきて、どういうところがいいかというのを話して、それで高校生達がどう感じるかですね。

働く場所をどうするかは大きな課題ですね。先日、下村博文さんの講演では、今の子ども達の65%ぐらいは、今はまだない職業(まだ生まれていない職業)についているのではないかと言われていました。他にも先日、東京大学の学生が来て、今後は例えばドローンでも、よい使い方をすれば、介護とか農業とかの分野に使えるのではないか。新たにドローンオペレーターという職業もできるかもしれないなと話しました。

先週、松山大学で講演をして「ゆとり世代の人は手を挙げて」と言うとみんな手を上げるんですよ。そうじゃないと(笑)。今の若い人たちは、共に考えて共に計画して共に成果を成し遂げることをやってないというか、そういう機会を僕らが与え、君たちはゆとり世代じゃない、無知でワクワクした世代なのだから、もっと色々なことを言っていかないといけないっていう話はさせていただきました。やっぱり、そういう機会を今回のような事業を通して、仕事の楽しみとか、人の指導とか、価値観の違う人同士が意見を交換して、故郷で働くことを考える機会を大人が与えてあげる必要があるのかなと感じます。

八幡浜の魅力をどう表現できるかですね。子ども達からも、大人になってこの八幡浜に住みたいという声もよく聞くので、それをどのように実現してあげられるか、それにはやっぱり働く場所とPRが必要ですね。

弊社の新入社員にも言われました。こんな企業があると知りませんでしたと。やっぱりPR不足なのかなと感じました。熊本の例では、インターンシップの受け入れを行政と会社が協力し、熊本に乗り込んで、会社説明会をやって、そして自分の仕事を一回体験させる為に市に呼び込んで、こんな会社が熊本にもあるとPRに注力してます。1,000万円単位の結構な費用だったのですが、企業が学生にPRする場を与えていただくと我々もありがたいです。青年会議所メンバーで企業と学生を集めて事業をするのも一つかなと思いますが、行政も一緒になって事業ができればいいと思います。

八幡浜の企業を中心にインターンシップができるのなら、具体的な提言をいただければ、市役所でも検討してみたいと思います。

ありがとうございます。先ほどの話にも少しありましたが、最後に市長として青年会議所の先輩として今の八幡浜青年会議所に対して期待すること、こうあってほしいという要望があればお願いします。

青年会議所の活動は、その地域と時代に合った事業を展開することが大切で、昔と同じことをしていたのではいけないと思います。新しい事業を展開していく中で、昔はこうやったぞというような反発を時には受けることもあるかもしれませんが、今の20代・30代が真剣に自分たちのまちについて考えて議論して行動していかないと、まちが元気にはならないと思うので、元気に活動をしていってほしいと思います。また、2年後には市議会選挙があります。青年会議所の現役メンバーから是非立候補してください。物申す若者をお待ちしています!

頑張ります!本日はありがとうございました。

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