「愛顔」今回のインタビュー:眞田井良子さん

あるものを活かして、ないものへ育てる 眞田井良子さん 八幡浜元気プロジェクト(建築士)

眞田井良子さん

今年8月に八幡浜市の市制施行10周年記念事業として、八幡浜市の素晴らしい町並みや商店の体験見学など 21か所を公開し、児童や住民がガイドする「八幡濱港拓(みなとびらき)」が開催された。企画したのが建築士の眞田井良子さん。アートプロジェクトで大好きな八幡浜を元気にしたい、子ども達が八幡浜を大好きになって欲しいと、これまでも八幡浜元気プロジェクト(YGP)等の活動を中心に地域活動を行っている。

建築家になろうと思ったきっかけは?

中学3年の時に修学旅行で訪れた清水寺で、懸造り(岩場に柱が建っている様子)を見て感動し、私も100年、200年後世に残るような仕事をしたいと建築家に憧れました。

まちづくりに興味をもったのは?

大学に入ってからは色々なアートプロジェクトを見に行きました。安藤忠雄さんやジェームズ・タレルさんが 廃屋に芸術的な要素を加えて特別なものに再生しているのを見て、「これって八幡浜でも出来るのでは」、 「芸術家の力が加われば八幡浜のまちが元気になるのでは」と思いました。建築の勉強では、建物だけではなく、まち全体のデザインを考えたり提案を行います。建築を通じて、一番好きな地元八幡浜のまちづくりに携わりたいという想いが募っていきました。

現在の活動の経緯は?

7年前に八幡浜に帰って来た時に中学時代の恩師に「アートプロジェクトで八幡浜を元気にしたいです」と相談したところ、YGPを紹介されました。また、八幡浜で勤めていた設計事務所の所長からもYGPが笑人の本の 制作員を募っていると教えて頂き、笑人の制作に参加しました。YGPに加入後、メンバーと共にアートで有名な直島に行き、八幡浜で行うアートプロジェクトのイメージを共有し、みなっとでの「かまぼこガーデン」や 「青石の石垣」の制作を行ってきました。

八幡濱港拓について

日土小学校の見学会に合わせて松村正恒さんの建築物である川之内小や長谷小、菊池清冶邸、白石和太郎邸等、八幡浜が「伊予の大阪」と称されて、繁栄していた時代の街並みや歴史に触れて地域の魅力を発信しました。
また、ガイドには地元の児童や住民の方に担当していただき、みんなが地域の魅力を語れるように心掛けました。特に子ども達が自分のまちの魅力を自分たちの声で届けることで地域に愛着を持ってもらえればと思います。
笑人の制作に携わってくれた高校生が、その後地元に帰ってきて、八幡濱港拓のスタッフとして運営に協力してくれました。青春期に地域の活動へ参加した経験があったからこそ、郷土に対する想いが強いのだと感じました。

活動のこだわりは?

一つは「人の元気をまちの元気につなげる」色んな人に主体的にイベントに参加し関わってもらう事と、 もう一つは「あるものを活かして、ないものへ育てる」地域資源に何か要素をプラスすることで全く違う 価値観を提供していくという事がこだわりです。

苦労したことはありますか?

完璧にこれは成功する事は難しいのですが、財政面や人手不足などの課題を苦しいと思わず、「だったらこうしよう」と言える仲間に恵まれているのがありがたいです。笑人の取材を通じて得たネットワークを活用して、これはこの人に相談してみようとか、足りないことも色んな人のお知恵を借りてやっていけるようになりました。

行政に望む事はありますか?

要望があれば直接言いに行ってます(笑)
みなっとの裏のバス停の待合所に屋根を設けたのも、「デザインを工夫して遍路小屋という形で四国の玄関口である八幡浜港をPRしてはどうか?」と提案しに行きました。港からの歩き遍路の方は八幡浜を通っていきます。上手くアピール出来たらいいなと思います。みなっとのトイレもデザインを評価されましたが、小さいものでもデザインをきちんとすれば面白いし、それを見たいと来てもらえると思います。

今後やってみたいことは?

アートプロジェクトをもっとやりたくて、芸術家さんとコラボしてみたいです。制作して終わりではなく、滞在型の作品をやって行きたいです。また、様々な人が地域で活躍できるよう、自分の強みを発見する講座を行っています。様々な人が地域活動に参加して頂ける仕組みを考えて、人と人を結びつけるような中間支援の活動をしていきたいです。古民家を少し改修して都市部から移住促進出来るようなことを企んでいます。

眞田井良子建築・まち育て研究所
NPO法人八幡浜元気プロジェクト

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