「愛顔」今回のインタビュー:河野昌博さん

めぐり逢いを大切に!男米(おとこまい)プロジェクト  米農家 河野昌博さん

河野昌博さん

四国西部の米どころ、愛媛県西予市宇和町で、米を中心に経営する若手農家4人が集まり、安心できる自分達が丹精込めてこだわった米を、1人でも多くの人たちへ届けたい!と言う想いで結成した、米農家プロジェクトチーム「男米」。みかんの搾りかすを肥料に使ったお米「めぐり」に今注目が集まっている。メンバーの一人河野さんにお話を伺った。

活動に至るまでの経緯は?

米農家をする上で、一人で販売をすること(販路)に限界を感じていたところ、同じ悩みをかかえている仲間がいて一緒に何かできないかという事から始まりました。地域の後押しもあり、とんとん拍子に話が進み1年ぐらいで形になりました。

基本的な活動内容は?

米の販路拡大です。 農協では、集めた米同士で差別化ができないため、自分たちでブランドを作りました。最終的には、このブランドを農協に返せれば(農協で使用できれば)と思っています。まずは、米農家の手取りを上げるための取り組みとして、小さい範囲(自分たち)でブランド化をしてみました。
[参考:米は、農協で検査を受けるが、全量出荷ではなく個人が自由に売れる。河野さんの場合、農協5%:個人販売95%(もともと持っている販路)。河野さんが管理している農地は約12ha]
ただ、男米プロジェクトでつくった米は、まだ1年目でロットが非常に少ないので、これをどんどん売っていくということはできません。今後、少しずつ面積を広げて対応していくことが必要です。

宇和の男米「めぐり」について

みかんジュースの搾りかすから堆肥(たいひ)をつくり西予市の恵みの循環で生まれたお米です。 愛媛で米というと、全国ではまったくイメージされていません。その中で米をどうPRしていくかというなかで、特産品である「みかん」と関わらせていくことにしました。メンバーで有機農業をしている仲間が、みかんの搾りかすを使った堆肥化のプロジェクトに取り組んでいて、それを使えばPRしていけるのではないかと考えました。みかんの堆肥化は、ぼかし肥料とすることで対応しました。

こだわりや工夫している事は?

男米を作っていくなかで、人と人、物と物の巡り逢いをコンセプトにしています。また、みかんのぼかしのイメージも資源の循環です。(稲の収穫後に出た稲わらや籾殻は、みかん農家の畑や家畜の飼料として使われる)これらの想いから、お米の名前も「めぐり」としました。出逢いがないと、何も始まらないと思っています。

今後の課題や改善点は?

今の農業のシステム(地域のシステム)は、現況にそぐわない部分が出てきています。昔から農業をされてきている方には、現況のシステムのままいきたい方もいるとは思うが、バランスを取りつつも新しいシステムでいかないと収益性があきらかに劣っていっています。(田んぼは、水共有しているため、個人でシステムを選択できない)今後は、田んぼ1枚でどれだけの利益をあげられるかという収益性を考えていかないといけません。たくさん作れば、たくさん売れるという時代ではないのでこの部分は、かなり力を入れいないといけません。全体のバランスにも配慮しつつ、少しでも地域として前にいくことが課題です。

今後の目標は?

規模の拡大です。5年以内に倍ぐらいにしたいです。
男米プロジェクトでは自分達が儲けることも大事だが、地域がどれほど活性化するかが一番大事です。 僕たち農家は物を提供する、地域の技術をもった人が加工する、といったような農商連携を形にするなど、このプロジェクトがきっかけで、地域全体が活性化すると良いと思う。
「百姓」という言葉にこだわりを持っているんです。昔からこの地域で農業をしている人は、みんな百姓です。 百の姓をもつという意味で何でもできる人のことです。地元のあぜ道の維持や五穀豊穣から始まった地元のお祭りのことなど地域のことが何でもでき文化の中心になっています。農業として生計は立てるが、百姓としての文化を知らないといけないと思います。今、僕たちが地域の人から教わらないといけない事です。何でも吸収して後の世代に継承していきたいです。

河野 昌博さん
仕事: 米農家
趣味: SUP(スタンドアップパドルボード)

Supported by Yawatahama JC